05128-180511 全面的にScrapboxを利用するshioゼミ・ドラゼミを他大学教員が参観してくださいました
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島根県立大学の石井大輔先生が、FD(Faculty Development:大学教員の教育能力向上)活動の一環として、shioゼミとドラゼミを参観しにいらしてくださいました。ありがたいことに、全国からさまざまな方がshio.iconの授業を見学にいらっしゃいます。とくにアクティブラーニングやIT利用についての実践を御覧になる目的が多い。 今回石井先生は、Scrapboxをshioゼミでどのように使っているのか、実際にご覧になりたいとのこと。大歓迎です。 https://flic.kr/p/24muBsu https://farm1.staticflickr.com/905/40269675180_04fa9b1acc_k.jpg
石井大輔先生が最近公開を始めたScrapboxブログ(/141)にご感想を書かれているので、引用いたします。 私的FD活動で、成蹊大学法学部の塩澤一洋先生のゼミ(shioゼミ)を見学。Scrapboxの活用を学ぶ。
各グループで課題を検討(グループページ)→全体検討(全体のページ)。それぞれのフェーズで適宜学生間のコメント、教員コメント。時には、議論の軌道修正やヒントとして教員からの「問い」を書き込み、学生はすぐのその問いの回答を書き込んでいく。全てがリアルタイムに目に見える形でスムーズに進行していく。
限られた授業時間の中で、Scrapboxを使うと情報密度がとても濃くなる印象。同じことを従来のツールでおこなうならば90分では足りない。全てがScrapboxで完結しているのが素晴らしい。従来は複数のツールを組み合わせて、それを行き来する中で、思考が途切れてしまい、議論が止まってしまうこともあった。
Scrapboxの活用以外のところで。学生によるshio図の解説がとても面白かった。/141/141.iconは人文学系の学科に所属している。法律に興味をもつ学生は少なく、むしろ学ぶ前から苦手意識を持っていることが多い。そんな学生に対して法律を扱う時には、「みなさんが得意な国語の現代文の勉強と同じだよ」と教えていた。現代文の問題を読むように、指示語、代名詞を明らかに。ヒントは文章(条文)の中にある。一歩進むと、法律の構成、上位法、体系を意識してなどなど。shio図では、条文を具体的な事象に適用する際に、全ての指示語、代名詞を明らかにした上で、例えば、売買契約ならばその売主と買主の関係を図解していく。その過程がとても明快で、わかりやすい。これは法律を専攻としない学生にとってもとても有益な方法だと思う。
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このうち「Scrapboxを使うと情報密度がとても濃くなる」との指摘が重要。
従来のようにゼミを口頭の議論で行なうと、原則として1時点で1人の発言のみが可能なので、90分で言語表現可能な時間は1人×90分ぶん。ゼミの人数が何人いても1人×90分(=1.5時間)しか時間がないので、例えばゼミに20名いれば、単純計算で一人が言語表現可能な時間は平均4.5分しかありません。
口頭表現だけでなく、何らかのITツールやクラウドサービスを使うと、それが増加します。でも時系列なメディアを使う限り、口頭表現と大差はありません。
この点、Scrapboxを使うと大幅に増大します。全員が同時に「発言」(言語表現)できるので、最大、20名×90分=1800分(=30時間)ぶんの「発言」が可能。つまりゼミの「場」に表現される言語が、圧倒的に増える。ということは、議論が多様化したり深化する糸口が見つかる可能性が広がる。
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もちろん現実にはそのような最大値に振り切れることはありませんが、瞬間風速的にでも「全員が同時に言語表現」という議論形態を可能にするシステムが常時目の前に稼働しているのが革新的。
口頭表現をすべてtranscriptionして統計的に処理し評価するミネルヴァ大学のシステムは素晴らしい。けれども、それが我々の大学にない以上、学生たちがタイピング力を身に付けることによって、似たようなことを追求する。文章として記述してあるから、過去に遡って議論を振り返ることも容易。議論の後に議論の推移を見直したり、当初の問いを掘り下げたり、発言当時には顧みられなかった意見に光が当たったり。 論述訓練を目的とするゼミであってもそれ以外でも、ゼミは文章表現力を磨くトレーニングルームですから、発言一つ一つを文章で言語化する作業の繰り返しは、筋トレやtreadmill(ランニングマシン)によるランニング、ウォーキングのようなもの。
口頭の言語表現は曖昧さを伴う。法律を扱うなら、曖昧さ極力払拭したい。だから文字で書く。「○○○を定義してごらん?」とshio.iconが問えば、学生たちはすぐさまScrapboxに自分なりの定義を書き始める。全員の定義が並ぶリアルタイムで眼前に並ぶから、比較も容易。1文字の相違が根底的な意義の相違を生むこともあることを学生たちが実感する。文字で書いて客観化することで、言葉の重みを肌で感じる。
それを日々、続けることによって、言葉に敏感に育ってほしい。そのキャンバスとしてScrapboxが最適。
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ゼミ2コマ終了後、石井先生と理系の研究者とご一緒に、成蹊大学近くのビストロ「ゴブラン」で会食しました。石井先生がかねてよりshiologyで写真をご覧になっていて、「今回は是非ゴブランで食べたい」とのご希望。 美味しい、美味しい、美味しい。ぜ〜んぶ超美味しい。
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このうちshio.iconの大好物は「カヴァテッリ(cavatelli)のアラビアータ」〈↑〉。人によっては辛すぎるらしいけど、辛さが旨さ。前回訪れた時、shio.iconは同行者たちと1皿をシェアして食べてあまりの美味しさにもう1皿自分用に注文したほど。 ワインも美味しく、大満足のディナーでした。お二人ともいらしてくださってどうもありがとうございました。また語りましょう。
理系の研究者の方がお書きになった当日のブログ記事はこちら。
今回、Scrapboxの話題で盛り上がったことをきっかけにScrapboxを使い始めたそうなので、近いうちに彼もScrapboxでブログを書き始めるかもしれません。
〈写真はすべて、リコーGR IIでゴブランのディナー〉 https://flic.kr/p/24muCih https://farm1.staticflickr.com/966/40269678010_eb4a78eb55_k.jpg